それは、私が19歳の時だった。
親からの、親族会議出頭命令。
私は何も知らず、その場に出席した。
そこで私は思い出したのだ。
お兄ちゃんが私に何をしたのかを…

きっと私の顔は、般若と化していただろうな…
お兄ちゃんと、お兄ちゃんの体にベッタリくっついてる女を見て。
私は、お兄ちゃんを見据えた。
一時も目を離さずに、じっと…

私は、お兄ちゃんがその女に夢中なら、私の心情は関係ないだろうと思っていた。
だから、私がお兄ちゃんを見つめていても関係ないだろうとね。
でも…何かが違ったらしい。
お兄ちゃんは、私の方を一度も見なかった。
あからさまに、不自然に顔を背けていた。
私の怒りのオーラでも感じたのだろうか?
それとも、その場で、あの日のことを暴露される恐れ?
(いや、よっぽど暴露してやろうと思ったけど…お兄ちゃんが殴られるのはイヤだから堪えたんだけどね)

私の顔を一度も見ないお兄ちゃんなんて初めてだった。
どんな女と一緒にいても、私の顔を見ないなんてことなかったのに…
何故?どうして?
私の顔を見たくないほど、私のことが嫌いになったの?
それとも、その女がそんなに好きなの?
(のわりには、その女の顔も一度も見てなかったんだけど…)

私は、お兄ちゃんが益々、分からなくなった。