昔…あの事があるまで…私が見ていた世界は光に満ち溢れていた。
親から無視されていることなど、どうだって良かった。
何も期待しない。それが当たり前の世界。
それでも世界は光で満ち溢れていた。
いつか…ここから抜け出したら…きっと私も…

昔…私の世界が全て崩れ落ちた…
あの日から私に見える世界は色がなくなった。
生きることに意味はあるのか?
私は何のために生まれてきたのか?
光も色もない世界で…消えたいと願った。
深く深く…

昔…沢山の人が私のまわりにいた頃…
私が見る世界は白と黒で成り立っていた。
生きようが生きまいが、この世界は流れていく。
私の命には何の価値もなく、何をしようが何も変わらない。
だから私は、ただ流れていく世界を眺めていた。
ずっと、ずっと…

昔…十数年間…
私が見る世界は、まるでデコレートされただけのお菓子の国…
甘い甘い世界…滑稽な世界…苦しみを先延ばしにしただけの世界で何人が生き残れるんだろう…
この弱肉強食の世界で。

そして今…
目を閉じたい私がいる。
もう見たくない。
何も見たくない。
世界の色なんて知らない。
もう…知りたくない。