※注意24・25のネタバレが入っています。
死ネタ+少しグロイです。
スザルルではなくスザ(→)←←ルルな感じです。
朔夜の作品にしてはこれ以上無いほど電波で殺伐としています。
それでもOKな方はスクロールしてください。
「ゼロ」
「ゼロ」
「…いや、もう今はルルーシュ、かな」
膝をつき、スザクは汚れのない真白い肌に手を伸ばした。
温度がなさそうなその頬は、自分よりも少し温い。
「ルルーシュ」
呼んでも、ルルーシュは目を覚まさない。
否、覚ますわけがないのだ。
彼は今、自分の血の海に浮かんでいる。
「血で汚れているだけあって、君は血も似合うね」
ただただ眠っている様な表情に、苦しみや憎悪は一片も見られない。
ほんのさっきまで狂ったように高笑いをあげ、自分と死闘を繰り広げていた人物とは、到底見えない顔つきだ。
「死んで然るべきだ。君は大きな罪を犯した。罰を受けなければいけない」
―ならばお前は、どんな罰を受けたんだ―
頭に響くのは、スザクのよく知るテノール。
多少反響しているが、まだあの世界に送ってすぐだから言葉自体ははっきりと聞こえる。
「うるさい、僕は皆を守る。自分の為には力を使わない、それこそ罰だ」
―ただの自己満足ではなく?―
「違うっていってるだろ!俺はちゃんと罰を受けている。貴様とは違うんだ」
―命令に従って虐殺を行うのは、自分の意思ではないから人殺しにはならないと?それなら最初の父親はどうなる?―
「うるさいうるさいうるさい!!黙れ!!!」
―だってそうだろ?聞きたくなったのを聞いて、何が悪い―
「お前はたくさんの人間を、ユフィを殺したくせに」
―あぁ、否定はしないよ。だって事実だから。それにいちいち言い訳をするつもりはない―
「うるさいって言ってるんだ!!お前はやっぱりこの世界に存在してはいけなかったんだ。俺が殺して正解だった」
―そうか。それがお前の正義か。俺と同じだな―
「どこが!ルルーシュとは全く違う」
―いいや、同じだよスザク。俺はナナリーのため、情の為に世界を壊そうとした。そしてお前は、ユフィの為、情の為に俺を殺した。違うか?―
「っ」
―やっぱり、根幹は似ているんだな、俺達は。だからこそ、こうして対照的になる―
「…何を」
―スザク、自分がギアスを掛けられてるのは知ってるだろ?―
「え?あぁ…」
―生きてる時には言っていなかったが、お前に掛けたギアスはな
『生きろ』
なんだよ―
「な…」
―俺はな、スザク。確かにナナリーが一番大切だったけれど―
「言うな…」
―お前も大事だったんだよ―
「言うなぁっ!」
―だから、お前がこうして生きている事、嬉しく思うよ―
「もう喋るな!!」
―いいや、最後だ。言わせて貰う―
「止め―好きだったよ、スザク―」
全てのものが止まった、スザクはその瞬間思った。
そして次の瞬間には自分の内側がガラガラと崩壊していく。
「…ぅ」
彼だったものに触れるのを止めると、拳をつくり、地面に叩きつけた。
何度も、何度も。
―止めろ、スザク―
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
―スザク―
「わぁぁぁぁああ!!!!」
―…スザク―
皮膚が裂け、血が溢れ、肉から骨が出てもスザクは止めなかった。
声が枯れるほど叫び、飛び出た白い先が赤く染まっても。
その内片手では飽き足らず両手を、瓦礫と化した地面に殴りつける。
狂った様に。
―スザク、それでも俺はお前が好きだよ―
そうしてどれくらい経ったか。
それでも以前と変わらない甘い声がそう告げると、スザクは主を失って以来初めて、泣いた。
「もう間違えないと誓ったのに」
―ヒトは違える動物だ。これで良いんだよ。少なくとも俺は、納得している―
誓った結果は。