途中でオチを忘れた話を書き散らし。
変な所で途切れています。
騎士皇帝
***
嘘吐きは良い死に方をしない。
呆れた様に、いつだったかミレイはそう言っていた。
だから、嘘は吐かない事、良い?
特にあんた、ナナちゃんを置いて死ねないでしょ。
「そうですね、会長」
死にきれない。
いや、そもそも自分はまだやりたい事が沢山あるのだ。
ナナリーの彼氏を、…すこぶる不本意ではあるが、あの子だって他人を愛し、いつかは誰かと結婚したいと思う日が来るだろう。
その時、自分がその男を見定めてやりたい。
本当にナナリーに釣り合うべき人間なのか。
そして、誰よりも幸せな結婚式を計画してやるのだ。
ありがとうございます、お兄様。
そうして笑ってもらえたなら。
それに、もう少しぐらいリヴァルと遊んでやっても良かった。
何だかんだ、あいつと居る時間は悪くなかった。
「嘘吐きは、良い死に方をしない、か」
「どうしたの、ルルーシュ」
珍しい、事もあるのだ。
ゼロレクイエムの為に皇帝と騎士という立場になってから、あいつは必要最低限の言葉しか話さない。
それがどういう意図なのか俺には分からないが、そもそも知る必要もないから放っている。
「いや、昔ミレイが言っていた事を思い出しただけだ」
「うん?」
本当に、珍しい。
当たり前の様に俺の隣に腰掛け、話の続きを促すなど。
しかもそれは当たり障りのない世間話の様なものなのに。
「別に栓ない話だ」
「どういう話」
「端的に言えば、嘘吐きは碌な死に方をしないと言う事だ」
ひゅ、とスザクが息を飲む。
馬鹿め、だから前もってクッションを入れてやったのに。
馬鹿、本当に馬鹿。
「たまにはミレイも、本当の事を言うものだな」
「…」
せめてそうだな、とか嘲ればいいものを。
こういう変に素直な所は昔から変わらなくて、愛おしい。
「そうだろう、スザク」
「!」
潤む瞳に映る俺は、笑っているだろうか。
いつも通りの、傲慢な笑みを浮かべていれたらいいのだが。
「お前も思わないか」
「な、にを」
「嘘吐きは、どうしようもない死に方しないと」
顔を近づけて、大きな翠の瞳を覗く。
ゆらゆらと揺れる不思議な色は、森の色の様でもあり、沼の色の様にも見えた。
どんな色をしていても、俺を惹きつけて止まない。
他人で愛したのは、お前だけだ。
それすらきちんと伝えず、はぐらかし続けた俺は、本当に碌でもない人間なのだろう。
「る、ルルーシュ」
「何だ。あぁ、分かっている。別に最初から、否定してほしいわけじゃないんだ」
「ちが、そうじゃなくて…っ」
どうして、スザクは苦しそうな表情をするのか分からない。
お前にとって俺は憎悪と殺意の対象でしかないだろう。
「何が言いたい。俺はお前じゃないから、分かりかねる」
「そうじゃない、んだ」
そう言ってスザクは俺の手に自分の手を重ねた。
同じ男の手だというのに、スザクの手は俺よりも大きく、皮膚も固い。
「スザク?」
「違うんだ、違うよ。ルルーシュ」
「だから、どういう事だ」
スザクが意味のわからない事を言うのは今に始まった事じゃない。
だから彼が足りない脳味噌で言葉を纏めるのを待ってやっているのだが、スザクはただただ違うと言うばかりで。