本編の後?
***
ドアを開けた瞬間、軽く後悔した。
「「Trick or Treat!!」」
「久しぶり、ルルーシュ。Trick or Trick?」
同じ顔が三人、その内二人はニコニコとした様子で、残り一人はその二人から少し離れた所から俺に声を掛ける。
「おい、スザク。そこは棒読みでもちゃんと朱雀やすざくみたいにTrick or Treatと言っておけ」
「えー」
「えーじゃない、えーじゃ」
確かにこいつら二人の相手をしていたら疲れるのは分かるが、それを俺にぶつけてくれるな。
「冗談だよ、一応」
でも今回は本当に冗談だったらしい。
目元だけは微笑ませ、俺とスザク達だけに分かる様にスザクは笑った。
それでも昔ほど表情を変えないそれを、俺は少し寂しく思う。
スザクも、本当は朱雀やすざくと同じなのに。
「…お前の冗談が一番性質悪い。スザク」
「なぁ、お菓子は?」
「ねぇ、中から良い匂いがするんだけど。ルルーシュ、何か作ったの?」
だがそんな俺とスザクのやりとりなど無視して、朱雀とすざくは今にも中に押し入りそうな雰囲気で俺に尋ねてきた。
「あぁ、ロロの為にカボチャパイと芋のケーキを「俺も食べる!」「僕も食べたい!」」
普段は俺様な朱雀も、天然に見せかけて自己中なすざくも、
「…ボクも」
そして大人ぶっているスザクも、皆同じ瞳をしていた。
顔の表情は違うけれど、キラキラしているその翡翠は変わらない。
それが何だか嬉しくて。
あの事を忘れる事など出来ないけれど、それでも。
俺がこいつらの事を好きなのは、嘘ではないから。
「仕方ないな。入れ。切り分けてやるから」
「わぁ!ありがとう、ルルーシュ!」
「やったぜ!」
「…ありがとう」
喜ぶ姿を見ると、こっちまで表情が緩んでしまう。
やっぱり俺は、スザク達には甘いようだ。
「ただしちゃんと手を洗えよ。わかったな、朱雀、すざく、スザク。特には朱雀だが…」
「分かってるって、ちゃんと洗えばいいんだろ!」
「大丈夫だよルルーシュ。僕がついてるから」
「仕方ないから、ボクが二人を見ててあげるから。心配はしなくていいよ」
「た・だ・し。それがお菓子の代わりだから、悪戯はなしだからな!」
「えー」
「えーじゃない、すざく」
「ま、別にいいけどな。俺は」
「うん?朱雀?」
「だってボク達、君の恋人でしょ?」
「…どういう事だスザク」
何故か落ち込む様子のない朱雀とスザクに、嫌な予感がしてならない。
「だからつまり」
「「恋人同士がそういう行為をするのは、悪戯関係なしに普通(だろ)でしょ?」」
「…お前ら、クラブハウス内に入るな!すざくだけで良い!!」
「わぁ、やったぁ!ごめんね、朱雀、スザク」
「許すわけないだろすざく!おい、ルルーシュ、すざく、扉を閉めるな!」
「…こんな事して只で済むと思ってるの、二人とも?特にルルーシュ、君にはお仕置きが必要だね。朱雀、突破するぞ」
「あぁ!」
朱雀とスザクを組ませたらとんでもない事になる。
俺はこのハロウィンで、嫌になるほど思い知らされる事になった。
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