「余計なことをしない。噛みつかない。オーケー?」
「なんでそんなに私だけ厳戒態勢なんすかね。」
「前歴。前歴見て。」
「シェフとやりあった回数まだ二回ですよ。」
「全履歴に必ず上の人ともめてる事実をもっと重く受け止めて!!」
「ちぇー…。ボイスレコーダーは?」
「ダメ!!! 余計なことしないで!!!」
「…ただ純粋に、社長に嫌がらせをしたいだけなのに…。」
「お願いだから爆発しないで。マジで。脅しじゃなくマジで。ガチで。」
「えーー。分かりました。約束します。何もしません。」
「約束な。マジで。ステイ。いいから黙って、席について。」
「はいはい。一度宣言した以上やりませんよ。」



というわけでレッツゴー面談。顔合わせ。いやぁこの顔合わせ、本当に顔合わせだけで自己紹介だけやった後は「あとは偉い人だけでやるからテメーら出てけ?」ってされたのでマジおこ状態でしたが。うん。…シェフのストップかかっててよかったな。



「…隣で先輩がイライラしてるのがすごく良く分かりました…。」
「社長がほんと、うんまぁ、…嫌いなんですね、先輩。」
「嫌いじゃないよ。別に。ただマァやられたことを覚えててあわよくば嫌がらせをしたいだけ。」
「ぶれない。」
「めげてない。」
「よくもまぁ収まってくれましたね…。裏でゴミ箱に当たり散らしてましたけど。」
「人には当ててない。」
「そうでしたねー。がんばりましたねー。」
「軽い。ノリが軽い。」
「本当はな、ちゃんと怒りたかったんだぞ。」
「はい。」
「なんでお前らだけの面談なんだって、こっちに何にも話は無いのか、コロナのことをきょう決めると言ったじゃないか、とか。全部抜きでやるなら状況の説明の一つぐらいしてくれ、とか。」
「はい。」
「でもちゃんと約束したからな。やらないって。だからやらなかった。約束守ったぞ。」
「…そーですね。」
「ままならんなァ。めんどくさいわ。これだから人間社会を生きてくのは面倒くさくてしょうがない。一人になったほうがよっぽど気楽だ。」
「お前はやっぱり一人の方が何かとよさそうやね。」
「私もそう思います。私は多分、組織には向いてない。さっさとどこへなりとも出ていく方がよっぽど誰かのためになるでしょうよ。まぁ、今はまだお世話になりますが。」
「まぁ、こっちも、この騒ぎが終わった後に人間の凝ってない方が困るから居てほしいし。ちゃんと筋通してくれればええから。」
「そこはちゃんとしますよ。私が筋を通さなかったことはありますか?」
「いや。無いな。」




というわけで昨日の顔合わせは顔を合わせた以上のことは何もありませんでしたよって報告ですめんどくさい。
結局そのままの勤務が確定しましたので、緊急事態宣言があろうとなかろうと変わらず出勤しまーす。まぁ、在宅勤務は不可能な業種ですからねー。しかし腹が立つので何かしらやり返したい。とてもやり返したい。手段がない。心当たりもない。もうちょっといろいろ勉強しておくべきだったと今思ってます。うん。