み“、み“み“み“み“み“ぃ


「「わーーー?!」」


み“!!


「なになになになになななな」
「え、あ、…セミじゃん」
「なんで室内でセミ?!」
「それな」

そう。出勤前、外出るの嫌だとごねてたらなんか突如大きな羽音となんかの音。そしてカーテンに着地するなぞの物体。
Gか?! 黒いやつか!? とか思ったんですがそれにしちゃぁデカい。アブか?! いやそれにしてはちょっと白い。
で、まじまじ見るとセミ。透明な羽を持ったセミ。…セミ?!

「えー…。昨日かな。そういえば、玄関の扉ちょっと開けっ放しにしてた時が…。」
「そね。私も荷物おろしたりしてる時は開けっ放し…。」
「時計みなよ、今9:00だよ…? いったいどこに潜んでたの…?」
「夜のうちに入ったから静かにしてたんかね。」
「朝になったから這い出てきたって? 遅すぎない?」
「室内だからしゃーない。」

しかしこれ以上滞在されても困るのでそぉっと窓を開けてそぉっとカーテンを外に押しやり、ぱたぱたぱた、


み“ーーー!!


「げっ。あんなところに留まられると迷惑なんだが。」
「思ったよりも元気そうね。」
「セミファイナル状態じゃなくてよかったよ。溝に落ちてんのにつつくと大暴れするやつ。いい子だから食い物あるところに行け。」
「え。セミって成虫になったらもうものを食べないんじゃなかったっけ。」
「一応水分は取るらしいけど。」
「まじか。」


はいはい、うちのベランダじゃなくてちゃんと草木生い茂るところに行きなさいな産卵場所じゃなくってよ!
羽ばたくセミを見送って自分も出勤したわけですが。よく考えなくても自分ひょっとして虫苦手?
立ち向かえるけど捕まえたことないな。なんか破壊しそうで。足が折れたり取れたりした虫ってなんかかわいそう。
上手な人は綺麗に捕まえると思うんだけどそういうスキルはどうやって磨かれるんだろうなァ。実戦経験だろうか。


セミって動きが鈍いから捕まえやすいって話なのに、それにすら立ち向かえない我が身。よよよ…。