「お買い上げ有難うございまーす。お菓子の配達でーす。」
「来たな。まぁ、ちょっとそこに座れ。」
「え? はい…?」

塾の恩師のところに注文された焼き菓子詰め合わせの配達をしたら一言切り出され。
はてなんだろうと塾の一室。むかーしむかーしの面談のように向かい合い。

「なぁお前。最近イベントに出るようになったんやって。」
「はい。おかげさまで…? 神戸やらなんやらに…?」
「そういうイベントに出るようになったんやったらな、身だしなみには気を遣わなあかんぞ。」
「は、ぁ…?」


「例えばな、…白髪とか、苦労してるのはわかるけど、こう、染めるとかやな…?」
「ゲフッ」
「化粧っ気がないのは昔っからやけど、イベントに出るんやったら化粧とかな。」
「グハッ」


ええ。ええ、ええ!! トクメーってばもう御年ン十歳!!!! 白髪なんかもう誤魔化せないぐらいに生えそろってきてますしね!! ゴマ塩とは言わないけどゴマーーーーーしおっ!ぐらいにはなってんですよ!!!!! 悪いか老化じゃい!!!
化粧だって親から受け継ぐ油肌のおかげで三時間ぐらいしか持たない上に汗かいたら全部解けますからねッ!!! くそ高い化粧品以外太刀打ちできませんよ!! やる気も失せるってもんだ!


「そんなわけで、これのお代。おつりはいらんから、身だしなみ整えろ。」
「グッ、せ、せんせぇ…!!」
「そんな凹む?!」
「か、髪の毛染めるって大変なんですよ…。一度染めたらずーっと、ずーーーーっと染め続けないといけないじゃないですか…。コスト凄いかかるんです…。」
「え、あ、そうか…?」
「節約もかねて最近自分で切ってます。」
「それは止めたら?」
「どうせ一年に一度しか切らないんだったら自分で切っても何も変わらんです。化粧だって、汗をかくと全部とけるし…。そんなんだったら、帽子にお金かけて、髪の毛は全部帽子に突っ込んで誤魔化したいです…。化粧はともかく…。今そうやってイベント出てますし。帽子とコックコートと前掛け。」
「お前もう今度塾に来るとき、その格好で来いよ…。評価したるから…。」


嫌だよぅ…。なんでコックコートで外歩かにゃならんのだよぅ…。


というのが先ほど起きた悲劇です。喜劇でもいいけどトクメー的には悲劇。
トクメーがコックコートを来たらヤバいぐらいに貫禄があるらしいのでもうそれだけでいいかなって思ったりしてます。ただし化粧。君をどうしたらいいのか私にはわからぬ。
素直に化粧すればいいんでしょうけど、化粧したらマスクの汚れ凄いじゃないですか。あれ嫌い…。あんなのになるぐらいならやりたくない…。でもベースメイクしないとただでさえ持たない化粧がさらに持たなくなって即溶ける。つーーか乗らない。

というか最近髪の毛は気を使ってたんだけどなぁ。ぱさぱさしてたのを長い時間かけて改善してそこそこいい感じになってんですよ…?
身だしなみだって、変な格好にならないように手持ちでぐりぐりしてるし。え、だめ…? これでもダメ…?



ショック受けて帰ってきて今、です。善意100%の忠告だもんなぁ…。正論なんだもんなぁ…。出来る範囲でやってるのに…。そうかダメなのか…。ショックでかいわァ…。