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ホワイトラビット

伊坂ファンにはお馴染みの泥棒 黒澤が、まさかの人助け!?
詐欺グループの一員である兎田は、同じグループの幹部に妻の綿子ちゃんを誘拐され、詐欺グループのお金を持ち逃げしたオリオオリオを探せと無理難題を突きつけられた。
そこで兎田はオリオオリオのカバンの発信機を頼りにある一軒家に押し入るが、そこには夫に暴力で支配され常に怯える妻と息子と、何故か泥棒の黒澤がいた。
紆余曲折あり兎田が綿子ちゃんを人質に取られていることを知った親子は、路上で偶然打ちどころが悪くて殺してしまったオリオオリオの死体を前に愕然とする兎田を見て、黒澤と共に綿子ちゃんを助け出すため警察相手にひと芝居打つことにするのだが…。

『ホワイトラビット』
著者 伊坂幸太郎
ISBN 978-4-10-459607-2

いつも通り時間の巻戻りと複数目線での転調があって、悪い人なんだけど妙に成功を願ってしまう人柄を描かせたらピカイチの方ですね。
難しいから読まないと思っていたけど、レ・ミゼラブルを読んでみたいと思った。

愛なき世界 ꙳★*゚

料理を作るのが好きという藤丸は、料理の専門学校を卒業する前、絶対ここで働きたいという店、「円服亭」があった。いついっても小綺麗な店内、そして何より味が格別だったのだ。
一人でその店を切り盛りしている円谷に履歴書を持っていったが瞬殺されたことにより、違う店で2年働いていたがやっぱり諦めきれずもう一度円服亭を尋ねたところ、何も見ず今度は採用を決めてくれた。なぜなら円谷は還暦過ぎて出来た恋人と花屋の二階で同棲するため、ちょうど住み込みできる人を探していたからだった。

やがて円谷は藤丸を見込んで料理を少しずつ教えるようになったところで、昔は家族経営をしていてその頃やっていた宅配を、夜営業の時間だけ復活させると自転車を持ってきた。
宅配を月に何度か頼んでくる東大松田研究室の面々と親しくなるうちに、藤丸は院生の本村に恋をしたが、植物に生涯を捧げると決めているため告白を断るが、その後も宅配に来ては自分を気遣ってくれる藤丸に心惹かれる部分もあったのだ。

『愛なき世界』
著者 三浦しをん
ISBN 978-4-12-005112-8

そんな中、研修室の助教が海外で生物の採取研究に行くと聞いてから、松田教授の様子が変なことに気づいた本村は、松田教授を昔から知る隣の研究室の教授に何か知らないかと尋ねる。
松田教授はかつていい友人でライバルの奥野という研究員がいたが、海外の研究旅行中に亡くなったと聞く。それを助教に伝えるべきか否か悩む本村は、配達に来た藤丸に相談する。
「だって本村さん、植物の研究で、謎を解く鍵を手に入れたらどうしますか?使ってみるんじゃないすか?」
「知りたいと一度思ってしまったら、誰が止めても使ってみちゃうもんじゃないすか」
時に歯止めが利かないから、好奇心とは怖いものだ。人間関係において、「余計なことを知らなきゃ良かった」という事態はあちこちで多発していそうだ。

同じ研究室で共に研究していた奥野は、珍しく旅行に行くと言った。何かほしいものはあるか?と聞かれた松田は、特に何も考えず、当時研究し始めていた腐生植物があったら取ってきてくれと頼んだ。
奥野は崖から足を滑らせ、帰らぬ人となった。最後にピンぼけの腐生植物の写真を遺して。
自分がそんなことを頼まなければ。ただその一点に後悔が絞られ、腐生植物の写真は自分への恨みなのではないかと考えたが、そんなはずもない。
奥野の遺した研究を完成させようと、研究室ではいつも以上に忙しかった。そして松田は後悔と忙しさで眠れない日々が続いた時、奥野の手が肩に乗った。奇しくもその日は奥野の四十九日で、松田はその出来事から眠れるようになったのだ。

誰がどんなに「あなたのせいではない」と言ったとしても、松田が一生抱えていく痛みなのだろう。

研究が成功したことを伝える本村が輝いて見えて、藤丸は二度目の告白がつい口をついて出た。そんなつもりはなかったが。
そしてこの研究が成功したことで本村は思うのだった。私は植物が好きだと。
瞬足で断られた藤丸は思う。

理解は愛と比例しない。相手を知れば知るほど、愛が冷めるということだってあるだろう。そしてその逆も。理解が深まるにつれ、愛おしいと感じる気持ちも増していった。

「本村さんは、愛のない世界を生きる植物のことを、どうしても知りたいんだ。だからこんなに情熱を持ってき 研究するんだ。その情熱を、知りたい気持ちを『愛』って言うんじゃないすか?植物のことを知りたいと願う本村さんも、この教室にいる人達から知りたいと願われてる植物も、みんなおんなじだ。同じように、愛ある世界を生きてる」

物語としては何も進展してないけど、すごく面白かった。これは何年か後にもう一度読みたいと思った。

ののはな通信

お金持ちの私立女子校に通っていた外交官の娘・はなと、貧乏な家庭に育ったが勉強ができたののは、とても仲が良く手紙交換をするのが日課だった。
やがてののははなを女性として見るようになり、そして二人は付き合うのだが、教え子に手を出していた男性教師と関係を持ち、その事が原因でののとはなは別れる。

やがて大学生になったののとはなは、ののが年上の女性と同棲していることを知り、はなが幼なじみの外交官と結婚することになるまで、また少し交流する。

やがてののは女子校時代の同級生とばったり再会し、そこではなの連絡先を聞いたことから、20年振りにメールのやりとりが始まる。
教え子を手篭めにしていた男性教師はあの後男子校に移動させられ、離婚し、予備校講師となり教え子と再婚したが、5年前に亡くなったと知る。しかしふたりにとってはどうでも良い事なのだ。
子供が出来なかったが、お互いを同士として支え合うことが出来て円満な家庭を築けているはなと、フリーのライターとして活躍し、猫と暮らしているののは、またメールを始める。

『ののはな通信』
著者 三浦しをん
ISBN 978-04-101980-1

結局はなは夫に離婚を切り出し消息不明になる。
そしてのののところにも連絡はないが、ののは気付くのだ。女子高生時代、家の中にもう一人誰か姉妹がいるように感じていたこと。
東日本大震災が起き、はなはもう生きていないのかもしれないと思う一方、ののは思う。身体は違っても私の魂ははなの元へ行くことを。

不思議な話でした。
女子同士の恋と片付けるのは簡単だけど、なんか不思議な話。
うまく言葉に出来ないけど。そんな感じ。

イマジン?

ゴジラVSスペースゴジラを見て映像関係の仕事をめざした良助は、新卒の時に念願の映像関係の会社に内定したが、入社したらその会社は計画倒産していた。
新入社員も入社させるんだと周りに信じさせるため、保険関係も手続き済みだったので、なんとか他の会社に再就職しようとしても、過去の会社名がバレてご破算になることばかりだった。
腐ってバイトを食いつなぐ日々を送っていた良助に、ある日他の会社に内定したとフリーターの先輩から誘われたバイトは、映像関係の会社で…。

『イマジン?』
著者 有川ひろ
ISBN 978-4-344-03561-4
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噛みあわない会話と、ある過去について

短編4作の軽いけど重い話。
女子の中にいて意識されない、でも誰かから必要とされたい男の子が、執着した結婚の話。
芸能人の教え子を持つ教師が、心底嫌われていたと再会して本人から聞かされ愕然とする話。
保護者懇談会で浮きまくる、本音しかない母親からの、親子のあり方の話。
有名になった同級生に会いに行って打ちのめされる話。

小さなトゲが刺さって血が止まらない、そんな感じの4篇です。

『噛みあわない会話と、ある過去について』
著者 辻村深月
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