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短歌ください その二

・問い詰める視線のまわりを囲まれて息したらもう有罪だった
作者のコメントより、学校の終わりの会に冤罪で名指しされて、今でも気分が悪くなるとの事。思わず情景が目に浮かんだ。

・どこまでものびてゆくクレヨンの線は真正面から見たらただの点

・どこにでも行ける気がした真夜中のサービスエリアの空気を吸えば

・ジャージ着た七三分けの先生に服装検査される屈辱
変な恰好の人が、お洒落な人の服に文句付けて威張って怒る。確かに変な風習だ。

・俺なんかどこが良いのと聞く君はあたしのどこが駄目なんだろう
俺なんかどこが良いのは、一見控え目なようで、実は深い拒絶の言葉。あたしは駄目だと君が言ってる

・何回もキュキュッと直すポニーテールあなたが好きな高さどのへん?

・サウナ室鯉の入れ墨兄さんに痛かったかと聞いたこの口
画鋲を踏むよりは痛くないらしい

・「そのコート素敵な闇の色ですね」君に心を持って行かれる

・あいつらが結婚したということでますます町は小さく見える

・動物は何も言わずに死んでゆく人間だけがとてもうるさい

・間違えて手を振ったらば返されただから君じゃないと気付きました
あの人なら手を振り返してはくれないと気付くきっかけになった

『短歌ください その二』
著者 穂村弘
発行元 株式会社KADOKAWA
ISBN 978-4-04-066368-5

短歌ください

雑誌『ダ・ヴィンチ』で月毎にテーマを決め、募集した短歌をまとめたもの。
好きだなぁと思った短歌を書き出してみる。

・ごめんなさい。絶対告白しないから。どうか近くに置いて下さい

・総務課の田中は夢をつかみ次第戻る予定となっております

・どの道を帰ってきたの全身に悲しみの匂いこびりついてる

・「髪切った?」じゃなく「髪切ったんだね」と自信をもって言えばいいのに

・あなたの目ずっと見ながら話すのは、瞳孔の大きさを測るため

・もう二度と人の食べ物を笑わないいちばん低いところから落ちる

人の食べ物を笑うことはその人の今まで全てを笑うことだと作者からのコメントあり。本人が幼い頃からそう言われてきたのか、それとも笑われて嫌な気持ちをしたのか。その背景がすごく気になる。

・唐突に話題変えるの癖ですか?それとも遠隔操作されてる?

・目を閉じた人から順に夏になる光の中で君に出会った
なんか素敵

・まっすぐにぶつかってきてくれるぶん雨は君よりやさしいものだ

・私まで好きになりそう眩しい娘慕うあなたの視線の先の


日本人だからか、短歌ってスッと心に入ってくる。素敵ですね。

『短歌ください』
著者 穂村弘
発行元 株式会社メディアファクトリー
ISBN 978-4-8401-3864-2
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