ぶろろんろん。搬入開始時間と同時に到着。さぁっていよいよ本番。張り切っていくぜ。
「おっはよーーございます主催者さん!!」
「お、おはよう。」
「さすがの登場だねぇ…。」
「えっ。なんかそんな変わった登場したっけ今。」
「「いや独特な登場だな、と。」」
うるせえやい。テンション上げてかないとしんどいだろ。テンション低いと上手におしゃべりできないし。
「売り物いっぱい持ってきた?」
「持ってきました!!」
「よし! いっぱい売ろうね!!!」
「頑張ります!!」
で。オープン後一時間。
「生きてるか!!」
「生きてまーーす!」
「あなた一人なんだからトイレとかちゃんと行けてる!? スタッフ出そうか?!」
「まだいける!! 大丈夫です!!!」
「どう??? 売れた??」
「いやそれはまだ。」
「えー…。」
「自分の店、周りが売り切れてからが本番なので。売れるのはまだまだ先です。」
「えっ。そうなの。」
そうだと言い張ってるんだよ。
「イベント後2時間だけど!!」
「ハイ!!!」
「トイレ行ってる姿を一回も見かけてない!!」
「いやぁ。行く暇が…。」
「ご飯を買いに行く姿も見てない。」
「実は朝に抜け出して買いました。おいしかったです!!」
「アッ。本当だ。ちょっと安心した…。」
「なのです。でもトイレはいきたい。」
「はよ行ってきなさい。店番しとくから。」
「ウッス」
「売れた??」
「…皆さんが売り切れてるので、そろそろエンジンかかるかと!!」
「……そっか!!!」
皆様のお気遣いに支えられる出店。ボッチだからしょうがないね!!!
「イベントお疲れ!!!」
「ありがとうございます! お疲れ様です!」
「…売れた??」
「ラスト1時間がピークでしたね。」
「まじか!! なんかいつ見ても人がいるなとは思ったけど!」
「あまりものの幸福というらしいです。ありがたい話です。」
という一連の流れがありましたとさ。
いやでも真面目な話。出展料から考えると二日分の最低売り上げ目標を大きくクリアしてるんですよこのイベント。
加えて安定した人通りがある場所なのでラスト2時間切っても人通りが衰えない。
すさまじいポテンシャルのイベント。いやこれのご縁があって本当に良かった…。この主催の人には本当に頭が上がらない…。
何か求められたら素直に差し出せるものは差し出そう。
あ。あまりものの幸福ってのは本当にあるやつ。呼び方は様々ですけど、具体的には「出店者が多数いる場合でも、完売が続出して最後の一人になった場合、その一人にお客が集中するので結果として最後まで残ってた人がめっちゃ売れる。」という百貨店出店ではありがちな状況のことを指します。
まぁ、このあまりものの幸福を得るためには条件をいくつか揃えないとだめらしいんで、どこのイベントでも可能な手段とはいいがたい。
自分が起こせたのは今回のイベントを除くとわずか一か所。たぶん条件の一つに「最初から最後まで新規客の流入が一定数あること」みたいなのがある。
でもその条件をそろえても、今のところ完売したことが無いってのが…。いつかやりたい夢の完売。
ともあれなにあれ。ちゃんと目標は達成したので、翌日の出店では「稼がせてもらったんだから一定数お金を落としていかねば。」と、積極的に物を買うようにしました。いつもは買わない高いお弁当も! いつもは買えないドリップ珈琲も!! いろいろ満喫しながらパパっと買いましたとも!!