銀行強盗に成功した四人は、逃走中の車ごと、現金輸送車を襲ったギャング達に乗っ取られてしまう。
手に入れた筈の4千万も、横取りされてしまったのだ。
どうにか取り返そうと、久遠がスッた財布の免許証を頼りに、運転係の男が住むマンションを訪れると、男は既に死んでいた。
その男の電話からリダイヤルをかける事が唯一の手掛かりだと思った成瀬と雪子が電話をかけると、何と、響野に繋がったではないか。
やがて四人はとんでもなく厄介な人達に目をつけられ…。
『陽気なギャングが地球を回す』
著者
伊坂幸太郎
発行者 祥伝社
ISBN 4-396-33268-8
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
銀行強盗四人が出会ったのは映画館で、爆弾事件。
つまらない映画のお陰で足元の爆弾に気付いた響野が得意の演説で観客を避難させ、成瀬が人間嘘発見器の特技を生かして映画館職員の嘘を見抜き、久遠が映画館職員のパソコンを弄って犯人だと言う証拠を掴み、追いかける四人を急かして雪子は盗んだ車を回して正確な体内時計で犯人を捕まえた。
雪子の息子・慎一の父親・地道が背負った借金を肩代わりしてやる為に、4千万円を渡した雪子は、地道が脅されている神崎に喋ってしまう事を恐れていた。
慎一の同級生のいじめを止めてほしいと頼まれた久遠と響野は、中高生達いじめグループを懲らしめ帰るところで、X氏(地道)と鉢合わせし、みすみす帰ってきた。
話を聞いて地道を仲間にした成瀬に納得がいかない三人は、地道に次の銀行強盗を教えた後、いつもの四人で本当の銀行強盗場所の計画を盗聴されている事を知りながら話す。
そして現れた神崎を車に閉じ込め、警察に引き渡したのだった。
響野の演説はいつも新鮮で、へぇーと思います。まぁ、それが真実ならばの話ですが。笑
“記憶には自転車の乗り方に代表される、一度覚えると恐らく二度と忘れない、身体が覚えている手続き記憶。
赤は止まれ等、文字通り一般的な知識の意味記憶。
思い出しを指す生活のエピソード記憶の三種類がある。
エピソード記憶は脳の別の部分が保管しているので、記憶ははっきり覚えているのに、別の記憶はさっぱり保管出来ないという事がままある”
響野と久遠の掛け合いが面白かったです。
「感じた事を全部わざわざ口に出す必要は無いんだよ。
誰もが心の中で思っているだけならば、世界は平和だ」
また、久遠の言葉には不思議な力強さがあり、これは使えるなと思いました。
「僕が世の中で許せないものはね、料理に入ったパイナップルと、非協力的な大人と、それなら『さっきのワースト三と違うじゃないか』って指摘してくる人だよ」
「動物は強者に従うけど、人間は強そうな人に従うだけなんだ。
絶対的な強さなんてわからないからね、強そうな人とか、怖そうな人とかさ、そういう『強そうな』っていう幻想に騙されちゃう」
響野のポリシーには思わず声を上げて笑っちゃいました。響野にピッタリのポリシーですが、これもこの時に思い付いただけなんでしょうね。苦笑
「私のポリシーは『大人気なく生きる』だからな。
中学生だろうが誰だろうが、偉そうな奴等はガツンと食わせなければ駄目なんだよ」