タヒチを旅する私は、海のある暮らしを思い出して、それだけでいっぱいに満たされていくのを感じていた。
旅をしながら思うのは自分の成り立ちで…。
『虹』
著者 吉本ばなな
発行者 株式会社幻冬舎
ISBN 4-344-00179-6
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
“「何があってもあそこでお母さんが見ていてくれる」と思って遠くまで走っていった子供の時を生々しく思い出した。安心して集中しすぎるくらいして遊んでいる時の、色の濃い蜂蜜のようにとろりとした楽しい感じ”
この表現、あ〜分かるなぁと思いました。
仲睦まじい恋人同士を見て“誰もにとって等しく、それはずっと続きはしない。どんな素晴らしい瞬間も、必ず変化していってしまう。だからこそ彼らは美しかった”
両親が小学生の時に離婚してから、母と私と祖母は寄り添って小さく慎ましく暮らしてきた。そして私も大人になり、家族も亡くなり、旅に出たのだ。
タヒチ料理を出すレストランで働いていた私は、心労で倒れ辞めようと思っていた矢先、家政婦をしないかとオーナーに雇われる。
妊娠している奥様は私と真逆のタイプで、第一印象から仲良くなれないと悟った。
“私もきっと生きているだけで、想像も出来ないくらい沢山の事を取り逃がしていて、それが生き方を選ぶということなんだ、と悟ったのだ”
どうして家政婦として雇われるようになったのか、物事にはいつも理由がある。
旦那様の気持ちを受け止められない私は、家政婦を辞め、タヒチへ。そして帰国し、新しい生活を始める。