長坂弥生は、夫の義母が痴呆で入院した後、義母が可愛がって飼っていた猫・ぎんなんちゃんを捨ててしまったという夫の発言にゾッとしていた。
結婚当初なら、夫がそんなことをする訳がないと手放しで信じられたのに、今はそれが出来ない弥生。

夫とギクシャクしたまま、弥生は数十年前の学生時代にホームスティした先の娘・アマンダを4日間泊めてくれないかと母のケイトに頼まれ、快諾した。
約束の日、空港でアマンダを待っていた弥生の前に現れたのは、彼氏と一緒に仲良く出てきたアマンダだった。

既にホテルを取ってあり、アマンダと彼氏はそこに泊まる。ケイトには自分から連絡するという。
「わかるでしょ?」
思わず笑ってしまった弥生は、若かった昔の“でたらめばかりを信じる17歳だった”自分を思い出し、快諾した。

“野心。それこそが前へ前へ進む原動力なのだし、それを恥じる必要がどこにあるのだろう。”

何処かで泣く準備はずっと前からしていたのに、号泣することが出来なかった。
そんな女性たちの等身大の姿を描いた、号泣にまつわる短編集?

『号泣する準備はできていた』
著者 江國香織
発行者 株式会社新潮社
ISBN 4-10-380806-3

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。