著者名に“幸”が入っている作家達の短編集。
『Happy Box』
著者
伊坂幸太郎
山本幸之
中山智幸
真梨幸子
小路幸也
発行者 株式会社PHP研究所
ISBN 978-4-569-80294-7
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
『Weather』伊坂幸太郎
男友達の結婚式に出た大友は、極度の女好きだった彼が結婚する相手から、浮気しているか、変な動きがないか挙式中の監視をお願いする。
彼女が複数いた為に、天気の話しか差し障りのない話がなかった大友は、天気に詳しくなってしまったという経緯を考え勘繰る大友だったが、彼は、妻が小さな頃に離婚し別れた父が調理するレストランウェディングにすることで、父に娘の晴れ姿を見せようという心意気が起こした行動だったのだ。
『天使』山本幸之
スリ師として生活を立てていたおばあさんは、スリ師の師匠から教わったことを思い出し、万引きやスリを手伝わせている母親の彼氏から引き離そうと努力する。
母親の彼氏と刺し違えたおばあさんは幸せそうだった。
『ふりだしにすすむ』中山智幸
自分の生まれ変わりだと主張する老人を気持ち悪がるが、本当に自分の事を知っていた。
来世でもまた夫婦になりたい。そんな気持ちを込めた生まれ変わり。
『ハッピーエンドの掟』真梨幸子
ホステスとして娘を育てていた母親に、お客さんとの間に子供が出来た。
近所に住んでいた智恵子は、何でも持ってるアイコがうらやましくて妬ましくて、新しい父が変態だと嘘の呪文をかけた。ほんとうは智恵子が取ったものを、新しい父がとったんだと言うことで。
ゾッとしました。全然ハッピーエンドじゃないです、この話。
『幸せな死神』小路幸也
人間には見えず、死の瞬間を確認する仕事をする死神は、バーでたまたま飲んでいた彼女がこぼしたお酒を捧げられ、彼女と話ができるようになった。
幸せな瞬間=生命の誕生に立ち会ったことがないという死神に、彼女は、自分が子供を産むからそこに立ち会えばいいと提案する。
出産に立ち会った死神は、死神にとって幸せなこと=この仕事から解放され消えてしまうことを経験し、消えてしまう。
彼女は自分の子供と死神に名前をつける。
最後の話が一番面白かったです。
小路幸也さんの小説を、他のも読んでみたくなりました。