妻が失踪した。ある日届いた一通の手紙と原稿を残して。
小学生の頃、一年に渡り監禁されていた妻の、奇妙でえげつない過去の話。
『残虐記』
著者 桐野夏生
発行者 株式会社新潮社
ISBN 4ー10ー466701ー3
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
小説家・小海鳴海こと景子は小学生の頃、安倍川健治に誘拐された。ケンジは住み込みで工場で働いており、当時25歳だった。景子をみっちゃんと呼び、一年間監禁し続けたケンジの事を、景子は今も分からないでいる。
何故、監禁したのか。
何故、昼と夜で性格が違ったのか。
ケンジは誰なのか。
ケンジが刑務所に入った後も、景子は現実に戻れずにいたという。
そして景子は、現在も戻って来てはいないのだ。
恐い話でした。何処からが嘘で、何処からが本当なのか分からなかった。事件の真相が、景子や検事の宮本による憶測でしか成り立たず、最後まで謎の残る小説で、それがまた事件と合っていて恐怖感を倍増させた気がします。
物語は監禁と言う犯罪行為が主でどう足掻いても報われない感じがしたけれど、小説の冒頭から面白そう!と興味をそそられた小説でした。