4人兄弟の長男・サンは、異母兄弟の中で育った。
父が亡くなり、4人は父の遺言通りに遺品整理をし、自分の母に会いに行く。

“恨むことは、自分の心を低くするからやめろ。生きるってことは前に進むことだ。恨みは前に進むエネルギーを奪う。やめとけ”

歓迎されないかもしれない。だから行かなくてもいい。そう残した父の気持ちに応え、長男として母達に会いたいという妹弟と共に旅に出る。
父が亡くなったのはわかっていたように、でも子供達のこれからの生活がどうなるのかを心配した様子もない。

旅を続ける内に、兄弟の出生の秘密にたどり着いたサンは、自分が父の代わりに秘密を背負っていく事を決め、真相を聞く。

なんだか微妙な話で。こういう家庭の話って、自分は経験してないからわからないし、想像するしかないんだけど、にしても出来すぎな感じがある。
どんなに仲が良くたって、きっと喧嘩もするし全てをわかり合ったり許し合ったりはしてない日もある。それが全て抜け落ちて、綺麗なものだけ集めたような感じがした。多分これが、父の言うラクエンなんだろうけれど…桃源郷よろしく、たどり着くのが難しいからこそ、楽園と呼ばれる。それを作り上げるなんて、可能なんだろうか。

『ナモナキラクエン』
著者 小路幸也
発行元 株式会社角川書店
ISBN 978-4-04-110266-4