『「罪と罰」を読まない』

著者 岸本佐知子
吉田篤弘
三浦しをん
吉田浩美

ドストエフスキーの有名な長編小説、罪と罰を読んだことがあるはずだが、いまいち内容を覚えていない小説家4人が、最初と最後の1頁、そして適当に選んだ頁を数回読み進めながら、どんな話か推理していく。

とにかくお金が無いけれど働きもせず、家賃を滞納しており、大家からこそこそ逃げ回るラスコーリニコフは、金貸しのおばあさんを殺すことを考えつく。
殺す計画を立てたのに、凶器となるはずだった斧が手に入らず、土壇場でおばあさんを殺し、帰ってきたおばあさんの妹までも、なし崩し的に殺す。
お金の為ではなく、社会の為に、格差社会を是正したのだ。むしろ、正義の殺人を犯したのだと思い込むラスコーリニコフは、警察に捕まるのではないかとビクビクしながらも、酒場で知り合ったロクでもない父親の借金返済の為に、娼婦となっている娘、ソーニャに説教をかます。
ソーニャは金貸しのおばあさんの妹と知り合いなのだが、ラスコーリニコフが殺人を告白してもなお、何のことだかピンとこないお呆けさんのソーニャ。
やがてラスコーリニコフは熱心なキリスト教徒であったソーニャにより、人の心を取り戻し、ソーニャの導きで広場の地面にキスし、殺人を自白する。
シベリア流刑となったラスコーリニコフについてきたソーニャは、シベリアの囚人達にキリスト教を説いて回り、ソーニャを教祖としたキリスト教が出来上がる。

全体的に登場人物がおかしな人たちばかりで、何なんだこの話は…?と途中で読むのをやめてしまいそうになるが、これはドストエフスキーが書いた、ギャグ小説なのでは?と考えるとまあまあ面白いらしい。
4人の推理も面白く脱線も沢山あるが、ロシア文学に抵抗があったけれど、少し読んでみたいなと思わせる小説だった。