Silhouette of wonderland

学生時代に読んだライトノベル『フェアリーテール』のラストが衝撃的で、十数年経った今でも忘れられない向坂伸行は、他の人はどう思っているのかと感想が気になり、ネットで検索をかけたところ一つの感想を見つける。

それは“レインツリーの国”と名付けられたブログで、ひとみという管理人が書いた感想だった。

自分と同じ様に何処かモヤモヤしたものを抱えていた事、そして本でも所々感じ方が違っていた事に惹かれ、自分の感想も彼女にぶつけてみたいと言う一心で、伸はメールを送ると返事が返って来た。
メールで本の感想をラリーの様にやりとりする内に、伸は実際にひとみに会ってみたくなり…。


『レインツリーの国』
著者　有川浩

発行者　株式会社新潮社
ISBN 978ｰ4ｰ10ｰ301871ｰ1


※この小説は、『図書館内乱』の中で出てきた書籍の実物という設定だそうです。
私はまだ読んでいませんが、それを知らなくても読めるので参考までに。


以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでよろしくお願いします。

日付変わって今日は、部活の先輩の誕生日です。

彼は初めて会った時から高圧的かつ俺様気質で、部活内でもダントツで苦手な先輩でした。「使えない」等と表情一つ変えず言う毒舌男で、自分だって大した器量持ってないクセに偉そう！という具合に表立って反発した事もあります。

だから当然、彼からの私の印象も最悪でしたが、一応先輩(後輩)だしとお互いに適度に距離を置きつつ割り切って生活していました。

約半年後、クラスメイトからの何気ない一言に傷付き、教室から部室まで涙を堪えて帰って来た時、事情を他の先輩から聞いた彼は「俺なんかな…」と自分も言われた事のある私なんかよりよっぽど堪えるであろう一言を教えてくれました。
その時の、哀しそうな微笑みと初めて聞いた優しい声のトーンが、私の中の先輩のイメージを見事に壊しました。それが先輩の事を勝手に冷徹と思っていたけれど、先輩だって悩んだり傷付いたりしながら部活に毎日臨んでいるんだと気付いた瞬間です。

それからすぐには無駄に反発した事を謝れなかったけれど、態度を改めました。卒業してからも会う機会があり、会う度に先輩の新たな一面を見つけたりして、今ではこの先輩の後輩で良かったなと心から思います。

先輩は少し不器用で言葉足らずだから、昔の私の様に誤解する人も多いけれど、本当は優しくて暖かい人でした。後になってから気付くなんて、私もまだまだだなぁ…。