脚本家・高遠ナツメこと奈津は、夫・高遠省吾に不満がある。というのも、奈津には志澤一狼太という演出家の先生を想う気持ちがあるからで…。
『ダブル・ファンタジー』
著者
村山由佳
発行者 株式会社文藝春秋
ISBN 978-4-16-327530-7
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
“子供のいない夫婦は恋人気分が抜けきらないという話はよく聞くけれど、それはある面、お互いに成長しきらない事への言い訳ではないかと思いもする”
順調だと思い込んでいた家庭で、旦那に仕事も何もかも管理される生活が苦しくなった奈津は、自分がデビューするきっかけにもなった賞の審査員であった志澤に洗いざらい打ち明けることにした。
志澤と関係を持つ事で、夫に管理されるのは自分もキツイのだと気付いた奈津は、友人にそれを話す。
「そんな深いところまでこの人にわかってもらえなくてもかまわない。そんな風に一旦諦めちゃうと、かえって色んな事に寛大になれるの」
「なんかそれって、残酷な話だね。ねえ、分かってる?それがどれほどの裏切りか」
夫と暮らす埼玉から東京へ一人で出てきた奈津は、昔から知っている業界人に香港に行って仕事をしないかと誘われる。たった何日かの仕事をどうしようか迷うのも、夫と長く暮らしてきた弊害だという友人の後押しもあって、奈津は香港へ向かう。
香港で出会ったのは、昔の恋人・岩井だった。優しく、草食系の彼は仕事柄、よく香港を訪れているらしく、案内をしてくれた。
「海外旅行に行くと添乗員さんにポーッとなりがちじゃないですか。あれって、自分に出来ないことを軽々とやってのける人を見て、つい、頼りがいがありそうに勘違いしちゃうからなんでしょうかねえ」
「そうでした、思い出しましたよ。そうやって、わざと口に出すことで自分自身に予防線張る癖があるんですよね」
岩井と関係を持ちながら、大林とも…恋愛体質とはこういうことなのか。
“ああ。なんて、さびしい。”
“どこまでも自由であるとは、こんなにもさびしいことだったのか―。”
うーん…何とも難しい話でした。途中とか、官能小説なのかと思わず眉を潜めるくらいの表現が沢山出てきて、思わず読まずに飛ばしたくらい。あれはやり過ぎ。
ともあれ、好きな人は好きなのかも知れません。私は嫌いですコレ。