主人公・岸本紀子が過ごした思春期を、小学校中学年から高校卒業まで順を追って語る物語。
『永遠の出口』
著者
森絵都
発行者 株式会社集英社
ISBN 08ー774278ー4
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
小学生の頃に流行った誕生日会の話から始まり、担任により行き過ぎた成績至上主義に踊らされたり、好きな人が出来たり…懐かしいなと思いつつ、後味の悪さも感じました。
それは、思い出になってしまった私から思えば、その頃の事は大したことのないと言えるのかもしれないけれど、当時の馬鹿すぎると笑われてしまう様な鋭利な真っ直ぐさを持って、徒に振り回したりしたものだから、誰かを傷つけ、傷つけられ…と、決して上手い生き方をして来なかったと思っている部分があるから、読んでいて、自分が思春期に傷つけた友達や仲間を思い出してしまうからだと思います。
女子特有の世界を覗くには、この本を読むのが一番手っ取り早いなと思ったのが正直な感想です。
友達関係や親子の軋轢、学校の圧迫…無限の可能性を持っていると言われた時代は、あぁ、そんな頃もあったなと思わせてくれる本でした。
“色々なモノを諦めた末、ようやく辿り着いた永遠の出口。私は日々の小さな出来事に一喜一憂し、悩んだり迷ったりを繰り返しながら、世界の大きさを知って、もしかしたら大人の入口に通じているかもしれないその出口へと一歩一歩、近づいていった。”
“生きれば生きるほど人生は込み入って、子供の頃に描いた大人とは似ても似つかない自分が今も手探りしているし、一寸先も見えない毎日の中では呑気に<永遠>へ思いを馳せている暇もない”
子供の頃は良かったな…とか、戻れるものなら戻りたいとよく聞きますが、あの頃はあの頃で、もしかしたら今よりずっと大変だったのかもしれないなんて、自分の思い出も一緒に読めた本でした。