月に数十件も家事が発生し、放火を疑う県警と、現場の証拠を取り合う、火災原因を探る灰と話す男・木場は、蘭の父と同期でかつては現場にいた。
しかし、ドア越しに助けられなかった要救助者の、助けを求める声が少しずつ小さく、聞こえなくなる。ドアの前に積まれた沢山の在庫を避けながら、死んでいく救助者の声を聞いていた消防士達は、PTSDを発症し、現場を離れてしまう人もいた。
同じくPTSDを発症しながらも、自分を強く持って無理をした野口元消防士は、現場に出られなくなり、消防から去ってしまう。
『灰と話す男 消防女子!! 高柳蘭の奮闘』
著者 佐藤青南
発行元 株式会社宝島社
ISBN 978-4-2008-1616-8
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
消防を辞めて新聞配達員として働く野口は、自宅で総菜屋をしていたが隣家からの貰い火で全焼し、離婚、そして新聞配達員として働く父を持つ息子は、学校でいじめられ、家では父に叱責され続けた苛立ちから老人の家に放火をしてしまう。
その放火現場に出くわした荒川は、天井が焼け落ち、亡くなってしまう。
仕事に大していつも一生懸命でいるなんて不可能だが、命をかけて市民の安全を守る消防も警察も、一生懸命でいなければならない。命の危険がある、目の前で仲間が亡くなっても、それでも現場に出続けなければならない、キツイ仕事だなぁと思う。こんな人達に支えられているんだなぁと感じました。
火事場の借りは火事場でしか返せない。みたいことを、荒川が亡くなって現場が怖くて苦しむ蘭に行った同僚の言葉が良かった。仕事を何でしてるのかなんて、本人でも本当のところはよく分からないものなのだ。