百瀬はいよいよ大福亜子と結婚する日が近付くが、そんな時に古巣の法律事務所から面倒な裁判を請け負う。
国際的な諜報員を裁判にかけ、百瀬はその諜報員を検察の立場から懲役刑を与える為、奮闘する。見た目も目の色でさえも変わってしまった諜報員が母だと信じて疑わない百瀬に、亜子や百瀬法律事務所の面々は困惑する。

『猫弁と魔女裁判』
著者 大山淳子
発行元 株式会社講談社
ISBN 978-4-06-218998-9

亜子の父と会い、お嬢さんを私にくださいと言う場面すら、裁判準備でどうにもならなかった百瀬に代わり、事務員の野呂さんが大福家に向かう。何故か父と打ち解けた野呂さんは、百瀬をどうか見守ってやってほしいと懇願する。
亜子は父と百瀬の裁判を傍聴しようと頑張るが、券はもらえなかった。百瀬の裁判なら是非みたいと考えていた透明と二見は、亜子と父に傍聴券を譲る。

その裁判では、外交の密約で無罪放免になるはずが、諜報員が罪を認めてしまった為、百瀬は母の命を懲役3年という形で守った。

母が百瀬を置いていったのは、母を怒らせたのだと思っていた百瀬。閉廷後、百瀬は母に投げ掛ける。どうして置いていったのか。

「その時の私は、それが息子にとって最良の道だと判断し、行動しました」
「あなたは35年間、後悔した事はありませんか?」
「私は正しかった。息子にとってあれが最良の道だった。あなたを見て、私は今、そう確信しています」

亜子は父に言われ、百瀬の母が服役し参列するその日まで、結婚式を延期する。

まこと先生はトラック運転手の帆巣と結婚し、百瀬不在の間、百瀬法律事務所の非常勤弁護士をしてくれた赤井は、猫弁に憧れるが、生きる事の大変さを七重に解かれる。


百瀬の気持ちがわからない事が、幸せに育ったという事なんだと思った。