一柳の後添えにという話を佐兵衛にしたくて待っているご寮さんは、もはや娘の様に思っている澪を、自分が嫁ぐ事で一人にしてしまうのではないか?と心配するが、ご寮さんの幸せを思う澪は、一人じゃないと言う。
やがて佐兵衛がお薗さんと娘のお花を連れてやってきて、ご寮さんの嫁入りを祝い、澪はご寮さんを心ばかりの料理で送り出す。

料理はもうしないと決めている佐兵衛だったが、指を怪我して細い細工は出来ない澪の代わりに、ご寮さんの為に大根で鶴を作ってくれた。そんな佐兵衛を見て、料理に未練があるのではないか?と思う澪。

ご寮さんが嫁いだ一柳の旦那さんは、澪の料理への姿勢をえらく気に入っており、澪と佐兵衛を料理人として育てたいとまで言ってくれる。しかし澪は、野江を身請けする為に、一刻も早くお金を貯めようと、野江の簪空思いつき登龍楼に馬鹿にされた料理を吉原で売ろうと考える。

一方、一柳の旦那はご寮さんを公私共に引き抜いてしまったのもあり、つる家へ芳の代わりにお臼を寄越し、芳に負けじ劣らずの才覚を見せる。
お臼は澪や種市をはじめとするつる家の面々を見て、澪の代わりにつる家で料理人をやっても良いと思えたら、お臼の旦那を説得してくれと一柳に言われており、お臼の旦那をつる家で料理人に据える。

つる家から独立しお金を貯めようとする澪を、種市とお臼の旦那・政吉は止める。二人の好意でつる家を二ヶ月休んだ澪は、慣れない吉原で料理を出すが、中々上手くいかない。
亡き又次を思い出し、自分を貸す事で、澪は少しずつお金を貯める事が出来る。しかし、野江を身請けする為の四千両にはほど遠い金額だった。すると澪の料理を代わりに出してくれるといい交渉をしてくれ、澪と野江に光が差し始めるのだった。

『美雪晴れ みをつくし料理帖』
著者 高田郁
発行元 角川春樹事務所
ISBN 978-4-7584-3804-9