心に入り込み、鼓笛隊の一員にされてしまう。
国家レベルでの警戒体制を敷くほどの事態、そんな中、鼓笛隊がやってきて…。
短編集です。
『鼓笛隊の襲来』
著者 三崎亜記
発行者 株式会社光文社
ISBN 978-4-334-92601-4
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
パラレルワールドに入り込んだように「彼女の痕跡展」なるところで、自分の私物が展示されていたり、中学の現国で扱った『素顔同盟』の進化版の様な世界があったり、本物の象が公園の滑り台のフリをしていたり、身体に何かのボタンがついている女の人、毎日階段の段数が変わるせいで旦那さんとまともに会話できない家…等々、9つの十分程度で読める様な短編が入っています。
短さゆえにモヤモヤしたまま、特に解決する事もなく過ぎていく話ばかりなので、好き嫌いは別れるかもしれません。
個人的には『素顔同盟』を彷彿とさせる「覆面社員」が良かったです。
素顔同盟は主人公が仮面を付ける事に疑問を持っている学生だったけれど、この「覆面社員」は、自ら進んで覆面を付ける。また、素顔同盟のお陰で既読感があり、イメージを膨らませる必要がなかったのが楽でした。多分ま昨今の音楽業界でもカバーが売れているのと同じく、手軽で良いとこ取りしたものが、考えずに済むから流行っているのかもしれませんね。