黒いゴミ袋で捨てられていた白猫のシロは、理々子に拾われ、お直しハウスを営むおばあさんと柳沢氏が住む家で暮らしはじめる。
シロ改めタマオという名前になったタマオは、大好きな理々子の為に生きようと誓う。
十年後、タマオは帰りが遅かった理々子を心配して見に行くと、理々子は車から降りてきた男に腕を掴まれていた。慌てたタマオは、理理子を助けようと飛び出し、人間になったのだった。
『雪猫』
著者 大山淳子
発行者 株式会社講談社
ISBN 978-4-06-218103-7
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
偶然人間になれたタマオは浮かれるが、イヴと名乗った美女はタマオに、夜しか人間にならない方が良いと忠告する。
黒猫のイヴは、小説家の男と美人な妻の家の猫だった。小説家は妻にいつも自分が書いた小説を読ませ、イヴは妻と小説家が楽しく会話している小説を読みたいと思い続けた結果、十年目に文字が読めるようになった。
しかし、妻が病気になり亡くなってしまい、小説家は小説を書くのを辞めてしまう。もう一度小説を書いてほしいと願ったイヴは妻そっくりの見た目の人間になり、妻のファンレターを真似て、いつもファミレスでファンレターを書いてはポストに投函していた。
イヴは人間になって小説家に会おうとするが、人間になること自体、命を削ることだった為に、小説家に会う前に命が尽きてしまう。
理理子はおばあさんと柳沢氏に嘘をつきつつバイトをし、バンドを組んでいた。
理理子のバンドはやがて賞をもらったが、その審査員である歌手は理理子を捨てた母だった。
理理子の母は高校生の時に妊娠し、当時の担任であった柳沢氏が産めと言ったので産み、そのまま柳沢氏のもとに理理子を置いて出ていったのだという。
柳沢氏とおばあさんは血の繋がりがない理理子を家族として育てていたのだ。
理理子はバンドを辞め、音楽学校に進むために頑張っている。
人間になり、数々の理理子のピンチを救ってきたタマオは、理理子に傘を届ける途中で車に跳ねられて死んでしまう。
雪に埋もれたタマオは、通りかかった理理子に見つけてもらうことなく、死んでしまうのだった。
タマオが道に迷っていたら、猫弁のテヌーが出てきて助けてくれました。
“おひとよしは世の中を明るく見せる。”
そこだけが面白かったけれど、何だか猫と気持ちが通じ合わないまま亡くなってしまって悲しかったし、ため息が出た。
言葉が通じ合わなくたって会話は出来ると思うのだけれど…よくも悪くも、世の中の猫のイメージそのままの小説でした。