SROが捕まえた近藤房子は、50日間、取り調べで黙秘を続けていた。依然としてSROの室長・山根と話したいと希望しているが、一度会わせた際に、約束を破り黙秘を続けているので、担当刑事も困り果てていた。
木戸のお見舞いに行ったSROに対し、元気そうに振る舞う木戸だったが、近藤夫妻にされたことがフラッシュバックし、悪夢に魘されることが多々あった。
自白をしないまま近藤房子の裁判が始まるとの報道を見た氷室舜一と桐野宗介は、近藤房子を尊敬し、近藤房子を逃がそうと考える。
木戸が復職したと知り、黙秘よりも自分に有利な証言をした方が良いと判断した近藤房子は、亡くなった夫・一郎に全て指示され、自身も脅されていたのだと話す。
近藤房子の弁護人・丸山は、何とかして担当を外れたいのだが、近藤房子が丸山を指名するので仕方なく弁護人をしているのだった。丸山の事務所に届く誹謗中傷の手紙に混じり、若い世代からの近藤房子へのファンレターが届き始め、困惑する丸山は、“Mに従え”という一文だけが書いてある手紙も届くのだと教える。
『SRO V キラークイーン』
著者 富樫倫太郎
発行所 中央公論新社
ISBN978-4-12-205453-0
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
入院してPTSDが発症していると分かった木戸の代わりに、木戸がSROに加わりたいと思ったきっかけの、叔母の事件を調べていた尾形と針谷は、何も報告できることがないことを悔やんでいた。
一方、近藤房子は刑務所で他の受刑者からこっそり「Mに従え」と呟かれ、丸山に届いたメッセージと同じものだったことから、その意味を考えていた。
担当刑事はとうとう根負けし、室長ともう一度会わせることに決め、車で近藤房子を移送する。その道中、偽警官により足止めにあった近藤房子と検察官・警察官達は、Mと胸に書かれた警官に、頭を足の間に挟めと言われ、その通りにした。すると、近藤房子の乗る車目掛けてダンプカーが追突してきた。
Mに従えという教えを守った近藤房子のみが助かり、氷室と桐野は近藤房子を連れ出すことに成功する。
近藤房子が逃亡したという一報を聞いたSRO。木戸はあまりのことに驚き発狂し、警察病院へ緊急入院してしまう。近藤房子を捕まえた実績から、SROは再び近藤房子を追うこととなったが、室長は、シリアルキラーである近藤房子は必ず、自分を逮捕した室長に会いに来るのだろうと考えていた。
氷室と桐野の隙を見て逃げ出した近藤房子は、室長に会いに行こうと警視庁を目指す。途中、室長を見つけ高揚した近藤房子だったが、室長が刑事につけられているのを目撃し戻る。
体調が良くなったと言い張り自宅へ戻った木戸にも、近藤房子が接触する可能性があると刑事が張り付いていたが、その様子を見た近藤房子は、警察の予想通り、木戸を殺してやろうと考えた。
氷室と桐野が用意した部屋に戻ると気絶させられ、近藤房子が目を覚ますと、桐野が氷室を人質に取られ、あと2時間で20億円を用意しないと氷室を殺すとかつての悪い仲間に言われ困っているのを見て、手を貸すことに決めた近藤房子。無事に氷室を助け出した近藤房子は、桐野が眠っている間に氷室を殺し、料理し、桐野に食べさせる。
SROの麗子を囮にし、SROを誘き寄せることにした近藤房子は、美人のキャリアである麗子の部屋に押し入り、あまりのゴミ屋敷ぶりに驚く。麗子を殺そうとしていた近藤房子だったが、ゴミ屋敷を見て気が変わり、マンションの管理人を麗子の前で殺し、解体した。2重の苦しみを麗子に与えた近藤房子は、その足で木戸の家へ向かう。近藤房子の魂胆に気付いた針谷は、木戸の部屋に隠れ、近藤房子と対峙し、木戸を張っていたキャリアのベテラン刑事が近藤房子に殺されてしまう。
近藤房子は逃げ、麗子は入院する。
人間が生きたまま解体される様子を見せられた麗子が、管理人が亡くなった場所で酒を飲み、近藤房子を捕まえることを誓うのが怖かった。