木戸が休職中のSROに、法務省矯正局観察課より人探しの協力要請を受ける。
7年前に起きたクリサリス・マーダー事件の犯人・太刀川遼一を探すというもので、少年院で6年かけて更生したと医官・清家は主張し、働いていたペンションで大学生に絡まれ、殺されたのではないかと考えているらしい。
中学二年で蛾を家で飼っていたことを怒られ、両親と祖父、妹を殺し、寝袋に入れてミイラ化するまでその横に座っていたという少年犯罪としても凶悪な事件の犯人だということから、更生したとは思えないSROは、室長が引き受けたことで、捜索を始める。

人に良く思われたいと繕った自分・ペルソナにより育てられた、理想的な家庭から産まれる凶悪犯・黒い羊、それが太刀川遼一の正体ではないかという室長の言葉に、いつも兄と比べられ、出来損ない扱いを受けた自分こそが黒い羊なのではないかと考える針谷。

『SRO W 黒い羊』
著者 富樫倫太郎
発行所 中央公論新社
ISBN 978-4-12-205573-5

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。